「藤の花とともに揺れる私の人生」
第7章
家族会議、勃発!役割分担という名の地獄
父の突然の飲食店開業宣言に続き、
母がとんでもないことを言い出した。
「家族全員で協力するのよ!」
時、小学校5年生だった私に
「協力」の重さなんて分かるはずもない。
でも、そんな子供の事情などお構いなしに、
母は容赦なかった。
妹はまだ幼く、何の戦力にもならない。
だからこそ、家族全員で役割分担をし、
父の夢を支えるという壮大な計画が発表された
のだ。
? 父:お店の準備と料理の修業
? 母:父のサポートと事務作業
? 姉:掃除と炊事(然、不満顔)
? 私:妹の子守り(目が点)
「え、待って、なんで私が子守り担当なの?」
その場では何も言えなかったけれど、
心の中は大荒れだった。小学校5年生に赤ちゃんのお世話を丸投げするなんて、どうかしている!姉だって炊事担当と言いつつ、掃除も込みで
超重労働っぽい。これ、完全に母の丸投げ
じゃない!?
さらに、問題はこれだけではなかった。
私たちの家は、道路を挟んで父の会社
(かつての水産関係の仕事場)の目の前に
建っていた。父はそこを嫌い、
「家の近くでお店を開くなんてとてもじゃない!」と言い切った。じゃあ、どこに開業する
のか? その問いに父は散々悩んだ末、大胆な決断をする。
「鹿児島を離れるぞ!」
家族全員が再びポカンとした。
その次に出てきたのは、さらに驚きの発言。
「宮崎に行く。母さんの実家と兄弟を頼るんだ!」
まさかの大移動計画。突然の引っ越し宣言に、
家族全員が激震した。
「え、鹿児島を離れる?宮崎?どうしてそこ?」と問い詰めたい気持ちは山々だったが、
父の「情熱と挑戦」が理由のようで、
誰も逆らえない空気が漂っていた。
こうして、私たち家族の人生はまたもや
大きく揺れることとなる。しかも、
それは藤の花のような優雅な揺れではなく、
嵐に揉まれる小舟のような揺れだった。
これから始まる、見知らぬ地での新しい生活。
その中で私たちは何を得て、何を失うのだろうか?子供心に抱えた不安と興奮が入り混じる、
そんな日々の幕開けだった。