素顔が見られる、女の子投稿型フォトダイアリー。
男はふと優しい笑顔を向けてから、口を開いた。
「いくつかに分けて、一つ目に俺が"疑問"に思った事は【求人も出していない】この店に面接に来た"君を"お店側が怪しむのは至極(しごく)真っ当な事なのは、君でも分かるかな?」
優しい声色で顔色も柔らかく私を怖がらせない為かは分からないが、ゆっくりと言葉を選んで話をする男に素直にコクリと頷いてしまう。
「2つ目、入る動機が【花魁】を目指したいため。んー…。志を高く持つのはとてもいい事だし、やる気がありそうな"目的"の一つだと俺は思うけど。どうやって"自分で"目指すかは計画している感じかな?」
「SNSや日記を通じて呼び込む事で集客を…」
質問に対して一般的な回答をすると、顎に手を当てて聞いていた目の前の男は渋るように声色が低く言葉を紡ぐ。
「なるほど…。そこで"悪い知らせ"なんだけど。俺の店では"それ"をさせずに集客に力を入れているんだよね。」
男は重い口調で言葉を紡ぐ。
「もし、お店に入店って話になったらスマホを解約させてGPSやバイタル確認が盛り込まれた特殊なケータイを持たせて防犯も兼ねて"監視"しているんだ。」
「はっ?」
スマホを持たせない?特殊なケータイ持たせて【監視】?
目を見開いて申し訳なさそうな表情で私の顔色を伺いながら男は次の言葉を待つ。
次回へ続く。
「謝って済む話じゃねぇだろうがっ!!プライバシーって知ってるのかよっ!?人の日常を勝手に見られた挙句、それをネタにして脅すつもりかよ!?なぁ!?」
「え?なんでそう思ったの?」
私の言葉を聞いていた男はキョトンと、目を丸くする。
私はその顔を目にした瞬間に拍子抜けしてしまう。
「…っ、はぁ!?」
「だから、なんで"脅す"って言葉が出たの?その上、俺が君に"それ"をする理由も、【何もないのに】何故、そっちの方に思考回路が働いちゃったの?」
「っ、…!?、?…??」
男はさらりと疑問を投げかけ、それを咄嗟に受け止めた私は訳が分からなくなって言葉に詰まってしまった。
それを見かねてか、男は続けて声色を変えずに言葉を並べたてる。
「そもそもの話なんだけど、君が"俺の店"に面接に来た話から遡らせて貰うね。」
ゆっくりと答え合わせをする様に男は話の場の"空間"を作り上げた。
「まず、ここへ面接に来てくれた事に関してはとても嬉しい。"ありがとう"の気持ちでいっぱいだ。」
「ただ…、」と続ける男が疑問を投げかける。
「実は【此処さ】、俺が直々にスカウトした子じゃないと入れないって話を聞いたことない?この業界の人なら大体は知っている筈なんだけど…。」
【スカウトした子しか入れない。】…噂程度でしか聞いたことが無かったけれど、それがまさかここだった…?
その言葉を聞いて体に緊張が走る。
その反応を見逃さなかったのか、「あ、認識は半々だった感じだね。」と苦笑いをする男。
怒るでも呆れるでもなく、"現実を受け止める"その姿に私は座っていた椅子から無意識に姿勢を正してしまう。
次回へ続く。